ワクチチェックを行う場合、良い点と困る点がありますので、事前にご検討いただきたいと思います。
良い点
・抗体が十分であればワクチンを打たないので、ワクチン による副反応を避けられる
・今までのワクチンによって、本当にうちの子の血液中に抗体がつくられているか確認することができる
困る点
・ペットホテルやグルーミング、ドッグランなど施設によりワクチンを毎年接種していないと断られる場合がある
・抗体が十分でないと判断された場合、結局ワクチンを打つことになり、費用とワンちゃん本人の負担が大きくなる
・結果がでるのが翌日以降になる
・ワクチンとほぼ同等の費用がかかる
ワクチチェックを考えた方が良いワンちゃんは、今まで混合ワクチンによる副反応が出たことのあるワンちゃんです。
ワクチチェックは、採血の必要はありますが、薬剤を体内に入れるわけではないので、ワクチンのような副反応がでることはありません。ワクチチェックでコアワクチンのウィルス(パルボ、ジステンパー、アデノ)に対する抗体が十分あると判断された場合には、今年は打たなくて良いでしょうということになりますので、ワクチン接種による副反応のリスクを避けることができます。コアワクチンと呼ばれるパルボ、ジステンパー、アデノウィルスによる病気に対しては、ワクチン接種後3年ほど抗体のある状態が持続するワンちゃんが多いといわれていますので、また1年後にワクチチェックをして判断しましょうということになります。
ワクチンプログラムをどうするか、獣医師によっても考え方が違いますし、一概に全員ワクチチェックすべきだ、とは言いにくい状況です。
特に日本の現状では、多くの犬が集まるペットホテルやドッグランでワクチン接種証明書が必要とされていることが多い点が、お家の方としては一番悩ましいところではないかと思います。ワクチチェックでもワクチチェックの証明書というものは発行しますが、それで抗体が十分あるからといって、ワクチン証明書と同等とみなしてOKをするかどうかは、その施設ごとの判断となります。
また、陰性となった場合の判断が難しいところです。
陰性であった場合でも、以前にワクチン接種の経験がある成犬の場合は、記憶免疫が維持されている可能性があり、検査で十分な抗体がなかったとしても、病原体に暴露された場合に迅速な防御反応を期待することもできます。
ワクチン接種から1年以上経っている場合には、やはり接種しましょうということになるかと思います。
それぞれのワンちゃんの状況に応じて、ご相談しながら判断しなければなりません。
また、レプトスピラなどのワクチンが必要と思われるワンちゃんに関しては、ワクチチェックをせずに、7種ワクチンなどを接種したほうが良いでしょう。7種に含まれるレプトスピラなどのワクチンの効果は1年以内ということが多いので、年に一度ワクチンを接種しましょう。
やはり一番おすすめなのは、ワクチン接種による副反応が出たことがあるワンちゃんです。
ワクチンの副反応は、場合によっては生死に関わりますので、おうちの方はもちろん、獣医師としても怖いものです。
ワクチンに副反応が出たことがなく、現在健康に問題のないワンちゃんは、状況に応じて、ワクチチェックをするか、ワクチン接種をするか、考えた方が良いでしょう。
当院では、ワクチチェックの費用は、5種ワクチンと同じ価格としております。
ご検討の方は、どうぞご相談ください。